東京都薬剤師会が実施した薬局薬剤師へのカスタマーハラスメント調査(2024年11月29日~同月30日)によると、業務中に顧客又はその家族からカスハラを受けたことがあるとの回答が69.1%になり、その類型としては、暴言が1位、謝罪等の執拗な強要が2位、金銭を投げ飛ばすなどの侮辱が3位という結果になりました。
薬剤師法第21条には、「調剤に従事する薬剤師は、調剤の求めがあつた場合には、正当な理由がなければ、これを拒んではならない。」とされ、いわゆる応需義務というものが定められています。そのため、処方箋を持参された場合、薬剤師は、基本的には調剤を拒否することはできません。
厚生労働省の「薬局業務運営ガイドライン(平成5年4月30日薬企第37号)」においては、調剤を拒否できる正当な理由が例示されていますが、カスハラは列挙されていません。そうすると、カスハラを理由とした調剤の拒否が許されないようにも思えます。
しかしながら、上記のガイドラインはあくまでも例示列挙したに過ぎませんから、正当な理由としては例示された事項に限られません。もっとも、上記のガイドラインは「処方せんの拒否が認められるのは極めて例外的なケースに限られる」としていますから、極めて例外的なケースであれば、上記のガイドラインの趣旨からしても、例示された事項以外でも調剤を拒否できる場合があるのです。そのため、カスハラを理由とした調剤の拒否も許されることも極めて例外的な場合であればあり得ると言えます。
とはいえども、あくまでも極めて例外的な場合に限ってカスハラを理由とした調剤の拒否も許されるに過ぎませんから、薬剤師のカスハラ対応においては、他の業種のように、カスハラが確認された場合に、サービス提供の停止や退去要請を行うといった毅然とした対応を示すのは難しいのが現実と言わざるを得ません。
上記のように、薬剤師のカスハラ対応には難しい問題があるのですが、10月24日に発売した書籍「『度が過ぎたクレーム』から従業員を守る カスハラ対策の基本と実践」(日本実業出版社)においては、薬剤師におけるカスハラ対処法について具体的に記載しています。もしよければご覧ください。
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