三重県桑名市では、2025年4月1日、カスタマーハラスメント防止条例が施行され、カスハラに該当された場合には、概要を公表しカスハラ加害者に警告するとされ、警告に従わなかったら氏名などが公表されることもあるとされています。
かかる条例に基づき、桑名市は、同年6月30日に、カスハラ事案の概要を公表しました。カスハラ加害者が配送を依頼した荷物が破損した際、請求者側の責任であると一方的に主張し、暴言、脅迫的かつ侮辱的な発言、謝罪の要求、弁償金の過大請求等を行ったとのことです。カスハラ加害者は、自宅に謝罪に来るよう要求、弁済する旨をメモに残すよう要求 、土下座の要求などを行うとともに、「馬鹿野郎、嘘つき」、「新聞社に言う」、「土下座しているところを撮影するぞ」と発言したとのことです。
配送業者がカスハラ行為を受けた事例なのですが、これは、いわゆるBtoBtoCの場合に当たります。BtoBtoCとは、B(配送業者)toB(通販会社)toC(顧客)という関係のことを言います。同様の関係は、スーパーマーケットに食品を卸す食品メーカー,ドラッグストアに薬品を卸す製薬メーカーなどたくさんあります。私もそのような案件を受けることがあるのですが、BtoBともBtoCとも異なる、BtoBtoC特有難しい問題があります。
上記の配送業者の例で言えば、配送業者から見れば本来の顧客は通販会社なのですが、通販会社の顧客と直接対峙することにならざるを得ません。そのような関係でよくあるのが、通販会社が配送業者の顧客と言える立場を利用して「面倒な相手だから、とにかく謝罪してでも落ち着かせてよ」と指示してくる場合です。配送業者の従業員としては、立場上、本来の顧客である通販会社の意向に逆らいづらく、仮に自社のカスハラに対する方針がいくら立派な内容であったとしても、それを貫くことが難しく、毅然とした対応ができないことがあります。
このように、配当業者のカスハラ加害者への対応に対しては、通販会社の意向に配慮せざるを得ないというBtoBtoC特有の構造上の問題があるのです。そのため、上記の条例があっても、通販会社の意識が変わらない限り、配送業者へのカスハラ被害は減らすことは難しいと思います。
なお、BtoBtoCの場合の具体的な対応方法については、書籍「『度が過ぎたクレーム』から従業員を守る カスハラ対策の基本と実践」(日本実業出版社)に詳細に記載していますから、もしよければご覧ください。
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