カスハラに直面したときに、目の前の相手からの執拗に攻め立てられていると、その状況から逃れたい一心で、とりあえず謝罪してしまいたいと相談されることがよくあります。相手方との対応は精神的に非常につらいものがあるので、とりあえず謝罪したい気持ちはよく分かります。
しかしながら、会社側に落ち度もないのに何も考えずに謝罪してしまうのは問題があると言わざるを得ません。
まず、謝罪を行う前に、会社において、相手が要求した内容が正当かどうかを調査する必要があります。仮にそれが正当でなければ、謝罪すべきでないということになります。というのは、会社が事実でないのにそれを認めると、SNSなどを通じてそれが事実として広まる可能性がありますし、また、仮に訴訟になった場合には、事実でないのに謝罪したことが後で不利に作用する可能性もあります。
とはいうものの、相手から執拗に攻め立てられ、従業員に精神的に大きな負荷がかかっている状況にも配慮しなければなりません。その場合は、謝罪の対象を外すことが必要です。あくまでも相手方の要求した内容に対しては謝罪しないものの、例えば、「私どもの電話対応にご気分を害されたのであれば、申し訳ありませんでした。」などと言って、相手方がクレームを出した際の電話対応に対してだけ謝るということは可能だと思います。
私としては、普段から謝罪に関して上記のようなアドバイスをしているのですが、私が事件処理の依頼を受けた段階で、相手方の要求内容に既に謝罪していることもよくあります。誠実な対応を行う会社ほどそうした傾向にあるのですが、既に謝罪してしまったとしても、十分に対処する方法はあります。もしそうなった場合には、非常に難しい対応が必要となりますから、当事務所にお問い合わせください。
なお、上記については、2025年10月24日に日本実業出版社から発売される書籍「『度が過ぎたクレーム』から従業員を守る カスハラ対策の基本と実践」において詳細に解説しています。ご興味のある方は、是非ご覧になってください。
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弁護士 能勢章




