カスハラの加害者はどのような特徴を持っているのでしょうか。その特徴を知ることで,対処方法を事前に考えることができます。私が経験したのは、企業のお客様相談室や法務部などの担当部署が抱えきれない、ひどいカスハラ事例が多いのですが、カスハラの加害者の特徴としては,下記の4つのものがあります。
① 独自の正義感を持っている。
正義感は大抵身勝手で歪んだものなのですが、本人の中ではそれが軸として揺るがない。相手が何を言っても揺るがない。なかなか説得には応じないし、引き下がりません。
② コミュニケーション能力が高い人が多い。
口下手な人は少なく、自分なりの正義感を表現できるだけの話術がある方が多い。自己の立場を正当化するために巧みな説明を行い、揚げ足を取ったり、自分の不利なことについては話を逸らしたりします。ただし、時々支離滅裂な人もいます。
③ 経験者が多い。
ここでの経験者は、クレームを言いなれているという意味での経験者です。同じクレームを同じ会社に時期を変えて何度も入れているのもありますが、いろんな会社に何度もクレームを入れた経験がある方もいます。私がそういった加害者と話しをしていると、特に悪びれることもなく、過去のカスハラ行為を武勇伝のように語ってくれる人がいます。また、中には、営業やお客様相談室で元々働いていて、自分もカスハラの被害者だった方もいて、今度は自分が加害者になるというケースもあります。いずれにしても、経験者ですから、製品やサービスに対する理解が深かったり、クレームを入れた時の流れを理解していたりして、相手にするとなかなか大変な場合が多いです。
④ カスハラを行う相手を選んでいる。
カスハラの加害者は誰彼無しにカスハラ行為を行っているのではなく、自分よりも立場の弱い人や言いやすい会社を選んでいる傾向があります。例えば、スーパーなら男性従業員よりもレジ打ちをしている女性の従業員、病院なら医師よりも受付の窓口の職員に対して、カスハラ行為を行うことが多いです。常に自分が優位な立場に立てる状況でクレームを言ってくる傾向があると言えます。
弁護士 能勢章