カスハラ問題が生じた場合に、相手に「あいつを辞めさせろ。」などと要求されることがよくあります。会社は、このような要求に応じる必要があるのでしょうか。
会社としてはこのような要求に応じる義務はありません。懲戒解雇を含む懲戒処分は、使用者である会社側が企業秩序の維持の観点から行う労働関係上の問題であって、カスハラを行う相手が決めることではありません。
もし従業員が何らかのミスした場合であっても、必ずしも懲戒処分の対象になるものでもありません。例えば、レストランの店員が注文を間違えて、クレームを言われたという場合では、その注文ミスが継続的なものではなく、単発のものならば懲戒処分にすべきほどのものではありません。
他方、従業員が差別的な発言をしたとか、「死ね」などの暴言を吐いたという場合には、当該従業員にも十分に事情を聴取したうえで、懲戒処分を行う可能性もあるでしょう。
いずれせよ、会社としては、カスハラを行う相手に言われたから懲戒処分にするのではなく、あくまでも会社との労働関係上の問題として懲戒処分を行うか否かを決めるべきであると言えます。
なお、上記については、2025年10月24日に日本実業出版社から発売される書籍「『度が過ぎたクレーム』から従業員を守る カスハラ対策の基本と実践」において詳細に解説しています。ご興味のある方は、是非ご覧になってください。
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弁護士 能勢章




